タオルについて
1.タオルの組織
タオルは、タテ糸 ・ ヨコ糸 ・ パイル糸の三つの糸の組織から作られています。
タオルのサイズや強度などを形成する糸がタテ糸 ・ ヨコ糸です。直接、肌に一番触れる部分のループ状の糸がパイル糸です。
■タオル部分の名称
2.タオルの種類
・ウエットユース
ウエットユースとは、水につけて/濡らして使用するためにつくられたタオルです。
代表的なタオル)浴用タオル,ウォッシュタオル,おしぼりタオル
・ドライユース
ドライユースとは水に濡らさず湿気や水気を吸収する目的で作られたタオルです。
代表的なタオル)バスタオル,フェイスタオル,バスマット,バスシーツ
3.糸の太さ
・糸番手
タテ糸 ・ ヨコ糸 ・ パイル糸の太さを表す単位を 糸番手と呼びます。
重さ1ポンド(453.6g)あたりの長さが840ヤード(768m)のものを1番手といい、糸の太さが細くなると番手数が大きくなり、糸の太さが太くなると番手数は小さくなります。
・単糸と双糸
単糸とは、紡績されたままの一本の糸を言います。比較的風合いの良い柔らかい肌触りのタオルを生産する際に用いられます。
単糸にも撚りがかかっており、この撚りを 「下撚り」 と呼びます。
双糸とは、単糸を二本撚り合わせた糸を言い、比較的強度の高いタオル生産する際に用いられます。
双糸の撚りを 「上撚り」 と呼びます。
撚りを強くすると、糸の強度が出ますが、糸はかたくなります。(シャリ感がある。)
逆に撚りを甘くすると、糸はやわらかくなりますが、強度は弱くなります。
最近の傾向として、パイル糸に単糸を使うケースが増えています。
パイル糸に単糸を使用する事で柔らかい風合いになり、尚且つ吸水性をよくする為にロングパイルにすることが多くなっています。
高級ホテルでは独自性を出す為に特別な綿糸を使う場合が多く、その特別な綿の特徴を活かす意味でもパイル糸に単糸を使用する事が多くなっています。
・糸使いの表記方法
表記 | 意味 | 用途 |
16/1 or 16s |
太さ16番手の単糸 |
柔らかい肌触りのタオルに用いられる |
30/2 or 32/2 |
太さ30番手の双糸/太さ32番手の双糸 |
一般的な業務用タオルに用いられる |
20/4 or 20/2//2 |
太さ20番手の四本撚り/太さ20番手の双糸をひき揃え |
バスマットに用いられる |
30/2×20/2×20/1 |
パイル糸に30番手双糸、タテ糸に20番手双糸、ヨコ糸に20番手単糸 |
4.タオルの重量
タオルは重量を表す単位に匁(モンメ)を使用します。匁とは、タオル12枚(1ダース)あたりの総重量を表す単位のことです。1匁とは、3.75gと規定されており、タオルの重さは1ダース(12枚)単位で表します。
計算方法 〇〇匁の場合 : 〇〇匁×3.75g÷12枚=1枚の重量(g)
例 1)200匁フェイスタオルの1枚の重量を求める場合 ⇒ 200匁×3.75g÷12枚=62.5g/枚
例 2)1枚〇〇gの匁を求める場合 ⇒ 〇〇g×12枚÷3.75g=1ダース当たりの匁
5.代表的な高級綿
・サンホーキン綿
カリフォルニア州のサンホーキンバレイで栽培されている、サンホーキン綿が日本では好んで使用されています。
また、綿作管理技術や夾雑(きょうざつ)物除去能力が高い為、世界で最もクリーンな綿の一つとされています。
・スーピマ綿
アリゾナ州・ニューメキシコ州・カリフォルニア州などで栽培されている超長綿。品質がすべて平均以上に優れていて、均斉(きんせい)度も良く、天然の撚りと油分が多い(糸にねばりがある)という特質があります。
均斉度の高い綿の糸でつくった生地は光沢が出ます。また、天然の撚りによるバルキー性もあります。
・タンギス綿
タンギス綿はペルーの在来綿であり、バルバデンセ(超長繊維綿)に分類されます。
タンギス綿は水の少ない地域でも育ち、太い繊維が特徴で吸水性も良く、バルキー性もあります。今ではペルーの綿花生産量の75%を占めています。
・新疆綿
中国の新疆ウイグル自治区で栽培されている超長綿。スーピマ綿、エジプト綿(ギザ)と並んで世界三大高級綿の一つです。
晴れた日が多く日照時間が長く、1日の寒暖の差が大きく綿の繊維が順調に成熟することで知られています。
繊維が長く、天然の油分が多い為しなやかでつややかな光沢をもつのが特徴です。
・エジプト綿
栽培されている綿花はすべて超長綿と長繊維綿です。ギザという二桁の数字がつけられて区別されています。
1980年代終わりまでは超長綿のみならず長繊維綿も日本に多く輸入されていました。
その後、長繊維綿の輸入は米国のスーピマにとって替られていますが、日本にとってエジプト綿は高級綿の代名詞です。
6.特殊な加工糸
・コーマ糸
コーミング(Combing Process)とは、櫛けずることを意味します。このコーミング工程を再度入れることで、より平行に揃えると同時に一定の長さ以下の繊維を取り除く工程です。
この工程を糸にしたものがコーマ糸で、毛羽が少なく艶のある綺麗な糸になります。
・ガス焼き
ガス焼き糸とは紡績された糸を炎の中を高速で通し、糸表面の毛羽のみを焼き、除去したものです。このためガス焼き糸は毛羽がなくなり光沢感が増します。
7.タオルの生産工程
日本のタオルの生産工程は、大きく分けて「先晒し」と「後晒し」の二つに区別される。
・先晒しタオル
愛媛県の今治の製造工程。前処理段階で糸を晒したり、染色してから製織する製造工程になります。
原糸 → 糸晒し・糊付け → 織り上げ → 糊抜き → 仕上げ
・後晒しタオル
大阪の泉州地区の製造工程。生糸のまま製織し、最後に晒しや染色を行う製造工程です。
原糸 → 糊付け → 織り上げ → 生地晒・糊抜き → 仕上げ
8.タオルの柄・名入方法
業務用タオルには、ホテルのロゴやホテル名を入れるケースがあります。
その表現方法として主に ①ドビー織 ②ジャカード織 ③刺繍加工 ④ヒガエ の表現方法があります。
①ドビー織
ドビー織機を使い、タオルの織りで柄を表現します。
無地の幾何学柄(小さな柄のくりかえり)、ストライプ、平地付きタオル、無地のタオルやシンプルな連続柄など。
②ジャカード織
ジャカード織機を使い、タオルの織で柄を表現します。
タテ糸とパイル糸を1本1本コントロールし、ホテル名やホテルのロゴマークなど、複雑な柄や模様を表現できます。
③刺繍加工
タオルの上に刺繍を置き、柄を表現します。
ホテル名やホテルのロゴマークなどをタオルの上に刺繍で施すことにより、アクセントとなる表現ができます。
④ヒガエ
ヨコ糸にカラーの糸を使う事で、柄を表現します。
カラーの糸を使い、ホテル名やホテルのロゴマークを際立たせる表現方法です。
以前は、ホテル名やロゴマークを入れることが主流でしたが、最近では高級ホテル様を中心に素材にこだわった無地のタオルを採用されるケースが増えてきています。