ゆかたについて
浴衣は生地(織)、染色、縫製に大別されます。
1.生地(織)
小巾と呼ばれる生地巾の狭いものと、広巾と呼ばれる生地巾の広いものがあります。
生地規格を表記する際、小巾生地は寸間打込み(鯨尺で約3.78cm)、広巾はインチ間打込み(2.54cm)で表記します。
※綿100%では広巾の三巾(約110cm幅)20/20が一般的な業務用浴衣において主流の生地となっています。
※T/Cでは広巾の三巾(約110cm幅)T/C30/70が一般的な業務用浴衣において主流の生地となっています。
2.染色
①染色とプリントの違い
顔料プリント
顔料を合成樹脂と混ぜて繊維に固着させる方法で、繊維とは物理的な結合となります。
※顔料を固着させる上でバインダーと呼ばれる糊が重要となります。鮮やかな色を再現できる特徴がある反面、顔料の乗った部分が少し硬くなります。プリント(捺染)なので、摩擦堅牢度が弱いです。
②染色方法
小巾機械捺染
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ロール捺染、マシンプリント、単にマシンなどとも呼ばれます。手捺染に対して機械を使う捺染はこれしかなったため、機械捺染と言われてきました。
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ロールは1色に付き1本必要で、使用する色数だけのロール本数が必要です。色数は最大で8色まで対応出来ます。
生産性は高く、100m/分以上の高速で捺染ができる量産型染色です。 -
小柄や連続柄、繊細な柄に適していますが、大柄なものや多色柄には適していません。
また凹凸のある厚手の生地には適しておらず、綿、麻、レーヨン等に適しています。 -
近年一柄当たりの染色量が減り、小ロット生産をすることが多く、染色料金が高騰してきています。
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ロール径 : 40cmロール,55cmロール,90cmロールがあります。
広巾ロータリー機械捺染
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スクリーンの型を円筒状にし、機械にセットし回転させながら生地に色糊を噴射します。
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ストライプやボーダー柄は技術的に型口がうまく取れないため、捺染できません。
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型は25インチ(63.5cm)
フラットスクリーン捺染
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型枠(スクリーン枠)で機械を使い、謄写版(とうしゃばん)の要領でプリントしていきます。
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型は30インチ(76.2cm)
③縫製
一般市販品とは違い、業務用製品は防縮加工等をしていない為、縫製した製品は洗濯・乾燥等により縮みます。
業務用仕立(リネンサプライ仕立)
旅館様・ホテル様での館内着及び寝巻きとして着用する事を目的とした縫製(仕立)方法。
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旅館様向けは、特大、大、中、小寸とサイズ分けすることが一般的。一方ホテル様向けはF寸の1サイズ展開が多いです。
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縫製は全てミシンで行います。
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袂(たもと)が無い筒袖で、オクミ付け10cm巾程度にしており、コストを抑制します。
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浴衣にこだわりを持つ高級旅館様では、男女違った袂袖にしたり、オクミ付けを本仕立並みの15cm巾で、前身頃5cm程度合わせて縫製する事があります。
本仕立(一般市販品)
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リネン仕立時のミシンではなく手縫いで縫製します。(中にはミシン縫製と手縫いの併用仕立を行う場合もあります)
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業務用仕立と最も大きく違う部分は、袖とオクミ部分で袖部分は袂が付きます。
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オクミ付けは15cm巾にして前身頃と5cm程度合わせます。
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女性用は身八つ口(脇部分にある開口部)があります。又、着丈を長く設定するため注意が必要です。
近年、日本人の体格が大きくなり、特に袖口が34cm以上必要なので広い小巾木綿が主流となってきています。
浴衣各箇所の名称